5・14日 トルコ大統領選挙
5万6000人以上が死亡したトルコ・シリア大地震から間も無く4ヶ月となります。
トルコの被災地ではテントでの避難生活を余儀なくされている人が
今も250万人にのぼっているとされています。
そんなトルコで14日に行われた大統領選挙は、
20年にわたって政権を率いてきた現職のエルドアン氏と、
6つの野党の統一候補として初めて立候補したクルチダルオール氏との
事実上の一騎打ちとなりました。
ウクライナ情勢で仲介役を買って出るなど、地理的にも要所の中東のトルコで
14日に行われた大統領選挙は、現職のエルドアン氏と野党の統一候補クルチダルオール氏
との間で史上稀に見る接戦となっていますが、両候補とも、当選に必要な過半数には届かず、
今月28日の決選投票にもつれ込みました。
20年ぶりの政権交代を目指して
エルドアン氏が初めて追い詰められている
ある面白い数字があります。
トルコの国営テレビでの政見放送の延べ放送時間時間です。
現職エルドアン氏→ 34時間
野党統一候補クルチダルオール氏→32分
この数字を見てもわかるようにトルコは大統領に権力が集中し、逆らう者を排除
してきた為、エルドアン氏は20年間選挙で敵なしでした。
しかし今回逆風が磐石の体制に風穴を
開けようとしています。
逆風その1 大地震
トルコ・シリア大地震は人災?
2月に起きた大地震での初動の遅れが批難されていたエルドアン氏ですが、
施策の面でも被害を拡大させたと言われています。それは、甘すぎた耐震構造の建物を
立てまくったことです。建設業界に汚職と腐敗が広がり、お金を渡せば耐震構造無視で
建物を建てられた。と言うのです。今、その責任を追及されています。
逆風その2 超インフレ
有権者の多くが最大の争点に経済問題を挙げています。
インフレの時には金利を上げると言う経済学では基本中の基本を無視して
独自の政策を打ち出し外資呼び込みなどの目的で政策金利を引き下げた結果、
インフレが深刻化。一時は80%に達したと言われ、
4月のインフレ率は44%で高止まりして、市民生活を圧迫しています。
毎日毎日お金が紙屑に変わっていく様子を市民が黙って見ているはずがありません。
逆風その3 逆らう者を罰する圧政
エルドアン政権になってから100もの反政府系メディアが潰されたと言われ、記者は
ほとんど逮捕されました。またデモや抗議も許されず、参加する若者はテロリストと呼んでいます。
またクルド人に対しても圧政を強めていて海外に亡命したクルド人をテロリストと呼んでいます。
(スウェーデンのNATO加盟にトルコが反対した理由もクルド人支援でしたね。)
しかし、シリアでは国民の6割が若者、2割はクルド人です。
ここに来て押さえが効かなくなってきたのもよくわかります。
逆風その4 野党6党の統一候補
今回の選挙で野党6党は
「打倒エルドアン」の唯一の目的のために
共闘しています。
候補に選ばれたのは クルチダルオール氏
その容姿と温厚な人柄から「トルコのガンジー」と呼ばれています。
20年ぶり政権交代となれば対ロシア政策の転換など外交政策が変わるかもしれないので
世界中がその結果を注目して見守っています。
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